地下書庫巡礼記

どこかに眠る、懐かしの物語を探して

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イギリス文学

『スマイリーと仲間たち』ジョン・ル・カレ|これまでの人生との対峙

ジョン・ル・カレ著『スマイリーと仲間たち』を読んだ。 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』『スクールボーイ閣下』に続く〈スマイリー三部作〉の第三作目にあたり、スマイリーと宿敵カーラの決着の模様が描かれる。 最終章ということもあってか…

『蠅の王』夢想家サイモンに関する覚書

ゴールディング『蠅の王』について全体を通した感想はこちらの記事に書いたのですが、一点書き残していたのがSimonについてでした。 Simonは、「腐敗した豚の首」に ”lord of the flies” なる存在を幻視し、「それ」との対話を通じて人間心理への考察を深め…

『蠅の王』を原書で読む 集団における人間関係の理

ゴールディング『蠅の王』を原書で読んだ ( 原題:"Lord of the Flies" )。 なんとなく馬が合わなさそうな者同士でも、表面上はうまくやっていかないといけない場面というのは、生きている上でよくあると思う。社会や組織、共通の利害を持っている集団内にあ…

『スクールボーイ閣下』ジョン・ル・カレ|名も無き者たちに捧げるは

ジョン・ル・カレ著『スクールボーイ閣下』を読んだ。 英国情報部の中枢部に潜り込んだ二重スパイを追う『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の続編であり、〈スマイリー三部作〉の第二作目にあたる。 優れた観察眼を通じて描かれる泥臭い人間ドラ…

『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』ジョン・ル・カレ|裏切り者探し、大人たちの世界と少年

ジョン・ル・カレ著『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を読んだ。 東西冷戦時代を背景にしたスパイ小説で、2011年には「裏切りのサーカス (原題 ”Tinker Tailor Solder Spy”)」として映画化されている。 先日、この映画「裏切りのサーカス」を観…