地下書庫巡礼記

どこかに眠る、懐かしの物語を探して

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幻想小説

『骨の山』を考察する 黙して語る〈結びつき〉のレトリック

アントワーヌ・ヴォロディーヌ著『骨の山』(濵野耕一郎訳) を読んだ。 ある種の共通した哀しみを持つ者同士の紐帯を実験的な手法で描く、ヴォロディーヌらしい小説だ。

『天涯図書館』「書くこと」の意味についての模索

皆川博子著『天涯図書館』を読んだ。 『辺境図書館』『彗星図書館』につづく、皆川氏による書籍案内エッセイである。 幻想小説や詩歌を中心とした選書なのは変わらずだが、2020~2023年連載の時勢を反映し、「ロシア情勢」「(戦争、パンデミックを引き金とす…

『アルト・ソロ』アントワーヌ・ヴォロディーヌ|青き悠久のユートピア

アントワーヌ・ヴォロディーヌ著『アルト・ソロ』を読んだ。 幻想小説の形を取った、社会体制から零れ落ちた者たちの緩やかな連帯を描いた小品だ。

皆川博子『辺境図書館』|読書体験を通じた共感・作家の死後について

皆川博子著『辺境図書館』を読みました。 皆川氏の愛好する作品の中から「素晴らしいけれど忘れられがちな古い作、あるいはおびただしい出版物の中に埋もれがちな作」とのコンセプトに基づき選出された、25の章立ての読書案内です。

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』の感想|放浪の末の豊かなるフィクション

イスラエルSFアンソロジーの『シオンズ・フィクション』を読みました。 本書は、「イスラエル思弁小説の宝庫 ( A Treasury of Israeli Speculative Literature)」という副題がついており、「思弁小説(スペキュラティブティブ・フィクション、Speculative …

皆川博子『愛と髑髏と』|日常を生きていけない者たち

1985年刊行の『愛と髑髏と』が復刊されましたね。未読だったのでとてもありがたいです。

山尾悠子『飛ぶ孔雀』の感想②|滅びの美学のその先

今回の記事では、物語の中で重層的にリフレインされるモチーフの幾つかに言及し、その上で『飛ぶ孔雀』以前の同作者の著作群から見た作風の変遷について述べたいと思います。

山尾悠子『飛ぶ孔雀』の感想①|行き違う姉妹は増殖する世界で

寡作な幻想小説家として知られる作者の連作長編『飛ぶ孔雀』をようやく読みました。 あまりに凄い。凄すぎる。これはとんでもない小説を読んでいるのでは……と興奮で打ち震えながら読み進めたのですが、読了した今となっても未だ熱に浮かされたような状態です…

皆川博子『夜のアポロン』

70~90年代発表の単行本未収録作品。ミステリ中心に集められており、先行して出版されている幻想小説中心の『夜のリフレーン』と対になるかのような一冊です。

ササルマン『方形の円』

ギョルゲ・ササルマンの『方形の円』を読みました。

リャマサーレス『黄色い雨』

こんにちは。 フリオ・リャマサーレスの『黄色い雨』を読みました。