ゴールディング『蠅の王』について全体を通した感想はこちらの記事に書いたのですが、一点書き残していたのがSimonについてでした。
Simonは、「腐敗した豚の首」に ”lord of the flies” なる存在を幻視し、「それ」との対話を通じて人間心理への考察を深めていきます。物語の結末も相俟って、『蠅の王』の核心に迫る象徴的なキャラクターとして描かれるのですが、今回言及したいのは、このような寓話としての役割についてではなく、Simonという少年一個人の性格についてです。実のところ、『蠅の王』で登場する少年たちの中で最も印象的だったのがSimonでした。
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